掟-OKITE- TAKAYUKI MORIYA
2019.05.21
  • 掟-OKITE- TAKAYUKI MORIYA
都会的スタンダードを提案するPUBLIC TOKYO。 PUBLIC TOKYOが目指すのは着るヒトを最大限に引き立てるモノづくり。ジャンルを超えて様々なシーンで活躍する、注目すべき“ヒト”にフォーカスし、生き方や仕事に対する“掟(スタンダード)”を紐解く。
今回お話を伺ったのは、プロデューサーとして活躍をする、守屋貴行(もりや たかゆき)氏。 仕事の肩書に縛られず、多方面で活躍する同氏の原動力とは。

まず、現在のお仕事をされるまでの経歴を教えてください。
大学生の時、知り合いのツテで博報堂C&Dのコピーライターとして働いていて。その時に、コンテンツを自分で作れるプロデューサーという役割が時代の流れ的に、将来重要になっていくのではないか、と思ったんです。」
学生の時は制作会社でのインターンも経験していますね?その経験も今の守屋さんのお仕事に影響しているのでしょうか。
「そうですね。当時、日本ではインターン制度が今ほどは普及していませんでしたが・・・ 制作会社で働いてみようと思ったきっかけも雑誌『ブレーン』を読んでいて、それに掲載されていたオフィスの紹介を見て、『こんな格好いいオフィスで働きたいな。』と思ったのがきっかけ。単純なんですね。制作会社ではグラフィックや映像の勉強をしていました。」


“プロデューサー”となるまでにはどういった経緯を教えてください。
「インターンやコピーライターの仕事を経て、自分の中でコンテンツの制作をしたい、という道のりが徐々に見え始めていて。 そこで、大学を卒業してから、新卒で入ったのが映像やその他のジャンルに強いコンテンツ制作の会社、ロボットという会社でした。そこでは、いわゆる一般的な広告のプロデューサーがやる様な、お客様から案件をもらって、予算を管理して、最終的にGOサインを出す、みたいなことだけではなく、クリエイティブと一緒になって企画出しもするし、デザインの口出しもするし、作品のクリエイティブコントロールもしていました。」
一般的にはプロデューサーの方はそこまでしませんよね。なぜ、そういった仕事の仕方をしていたのでしょうか。
「そうですね。多くはディレクターやプランナーがいるので、そこまでクリエイティブに口を出さない人は多いと思います。 ただ、自分はできる案件の幅を増やしたかったんです。というのと単純にわがままなんです。いいアイデアが沸けばそれを伝えたい。モノをよくしたいというシンプルな動機からきているのだと思います。


色々な案件をこなして、経験を積んだ上で、その中でも自分の共通している芯の様なものを見つけないと、と思っていました。例えば、メディア依存のものづくりだけをしていると、その媒体メディアがなくなることだったり、少しずつエンドユーザーによる媒体の需要と供給が変わっていくことで、その人の仕事の価値が下がってしまうのは本末転倒だと常々感じていました。そうなるのは命令に帰属している生き方だから。“本質的に何を自分が作れるのか”をわかっていれば、どんなに流行が移り変わろうとも、生きていけるのはその人だったりする。何かに帰属するのではなくて、本質的に何を作ったらいいのかをわかっていて、かつそれを作ることができるというのは伝えたいことがあるからだと思っています。」


お仕事上海外に行くことも多いと思いますが、日本と海外のプロデューサー業やクリエイティブの制作の違いを感じることはありますか?
「日本の映像業界には“ビジネスプロデューサー”が少ないと感じています。 ディレクターや、デザイナーで世界的にも有名で優秀な人はいるんですけど、それらのクリエイティブチームが作り上げた世界そのものを広げようとする人や、そこに市場価値を作って場所をつくるが少ない様に感じます。 僕は、プロデューサーはモノと同時に場所を作ることが大切だと思っていて。 コマーシャルだけを制作していくだけならば、場所を作るなんで考える必要はないと思うけど、自分はディレクターや監督、デザイナーや、様々なジャンルの作家と自分たちで作って自分たちで発信したいですね。その方が絶対面白いと思う。」


“場所を作るということ”
「プロデューサーって、クリエイティブを作る場所づくりや、まったくの白紙の状態から企画を提案して、0のところに1のクリエイティブを生み出すのが役割がと思っています。そして、それをどこで発表するのか、作品をどこに出すのかという、コンテンツを広めていく場所づくりをするところまで統括して見られるのがこの仕事の面白みかなと。」



“俯瞰すること”
「帰ったら、部屋で映画やMVをひたすら流しています。プロジェクターで投映して。気になった作品がないか、今後の仕事に活かせるものはないか、それを拾うために新しいものには常に触れていないといけないと思っているので。」



“体調管理”
「これは仕事の基本だと思っています。と言いながら壊しがちなので、自分に言い聞かせてる部分もあります。30歳を越えてからから体調を崩しやすくなったと感じたので。今後もアクティブに働いていくためには体調管理は欠かせませんね。」


今後の展望について
「今後は自分たちオリジナルIPの作品や、自分たちで描きたいモノや場所も定期的に制作していきます。 あとは、昔からショートフィルムが日の目に浴びず消えていくことが多々あるんですが、本当にいい作品が多いので、そういう「本当に良いモノ」ものをもっとメディアに出してアウトプットしていきたいとも思っています。 新しい映像ビジネスを構築させることで新しい未来が築かれるんじゃないかなと思っているので。 もしかしたら、自社サービス・自社メディアを持つところがスタート地点なのかも。」


守屋貴行 -もりやたかゆき-
株式会社NION ・株式会社BRUTO 代表取締役 / エグゼクティブプロデューサー 神奈川県出身。 映像プロダクションカンパニーである株式会社ロボットに入社。 26歳から映像プロデューサーを軸に、GoogleやPanasonicなど多数の企業コマーシャルやアーティストのMusicVideoの制作を手掛ける。 またそれだけに留まらず、Webやアプリなどインタラクティブなプロモーションをクライアントと開発するなど、プロモーションからサービス開発まで幅広く担当。 2012年には、マッチングサービス『Paris』を制作運営する株式会社エウレカにジョイン。 2013年には、Web、アプリ制作を提供する株式会社Brutoを設立。 NikeやSAOの人工知能開発、映像制作など、多岐にわたる領域でクリエイティブ統括や全体プロデュースを行う。 2016年には、新しい映像ビジネスを構築するために株式会社NIONを設立。 同年10月には脳内革命アートフィルム「KAMUY」の制作・配給を行う。 クリエティブ・アート業界をダイナミックに繋ぐビジネスプロデューサー。