都会的スタンダードを提案するPUBLIC TOKYO。
PUBLIC TOKYOが目指すのは着るヒトを最大限に引き立てるモノづくり。 ジャンルを超えて様々なシーンで活躍する、注目すべき“ヒト”にフォーカスし、生き方や仕事に対する“掟(スタンダード)”を紐解く。
今回フォーカスするのは都会的で洗練されたスタイリッシュなイラストを描くニシクボサユリ氏。
インタビュー中も常に笑顔の絶えない同氏が、仕事において“それに尽きる”とまで語った“掟(スタンダード)”とは。








なぜ今の職業についたのか経緯から教えてください。


元は看護師をしていて、なんとなく物づくりしたいなというのはありました。
小さい時はFF(ファイナルファンタジー)にめちゃくちゃはまっていて、スクエア・エニックス入るぞ、とか思っていたんですけど、三重県の熊野市っていう田舎で「何夢語ってんだよ」みたいな感じで、 母子家庭ということもあり地元に残って働きなさいみたいな流れがありました。医療系や公務員とか。
そして、諦めるようにというか、自分に言い聞かせるように看護師になっていたんですよね。
手に職をみたいな感じで。でも看護学校に行ってましたけど、その時点でこの業界じゃないなと思っていました。


それは在学中からですか?


そうです。何か違和感があったし、面白くなかったんですよね。
面白くないなあと思いながら、でも3年は働こうと思って。
それで名古屋の病院に入ってオペ室にずっといて、それは楽しかったんですけど、やっているうちにこの仕事をやるのは私でなくてもいいんじゃないかと思ってきて、何かしら自分の手で作って残していくことをやりたいなと思って。
そのぐらいのタイミングで、おじいちゃんが亡くなったんですが、おじいちゃんは自由に生きていた人で、郵便局で働いていたのにい早めに辞めて大工になったり。
親方の見よう見まねで技術を学んだらしいです。
その影響もあると思うんですけど、自分の人生なので自由にやろうと思って、独学で看護師をやりながらWEBデザインをやっていました。








看護師をやりながらWEBデザインの学校にも通っていたんですか?


いいえ、本を見て独学で。とりあえずパソコンでできるところからやろうと。
サイトひとつ作ってポートフォリオにして、名古屋ではなく東京で就活して何社か受かったんですけど、そこでもWEBデザインじゃないなと思いはじめ、「グラフィックも建築も興味あるし、全部やるしかないな」と思ってしまって。
それで繋ぎで保健師という仕事をやりながら渋谷の学校に通ってそこで空間デザインとか、自分で学べなさそうなことをやりました。
それこそCAD(コンピュータによる設計ツール)使ったりとか、設計してたんですよ。図面書いて。
それやりながら、絵とか描けたほうがデザインする上でいいだろうなと思い、インスタに描いた絵をあげ始めて、それを続けていたら急に依頼が一件きて、「絵で依頼がきた!」みたいな。


依頼はインスタ経由で?


そうです。ちょうど、マガジンハウスに影響を受けていた時期で、 確か「GINZA」に載っていた地方のセレクトショップを紹介していた記事で、その記事の足元だけの絵を描いてインスタにあげたらそこから連絡がきました。
周年のDMをデザインして欲しいですっていう。
その後、ちょっと展示させてもらう機会が増えたりしていくうちに、絵の依頼が色んなところから入るようになりだして、会社行ってる場合じゃなくなって会社でも絵を描くみたいな感じに。








会社は大丈夫だったんですか?


やることやったら自分次第みたいな雰囲気ではあったので、人がいない時にこっそり描いてました。半分以上バレてますけど応援してもらえていたので、甘えさせてもらってました。
最終的には週2になり、週1でもいいからいてくださいみたいな感じに言われたんですけどお断りして。
それが一昨年の9月なので、もうすぐフリーで2年です。


まだ2年なんですね。


だから5年ぐらいですかね。描いている年数でいうと。


キャラクターとモノクロのギャップが面白いなと思うのですが、作品を作るときに大切にしていることはありますか?


もともと空間デザインとかも好きだったので、インテリアとして絵を飾ったときに邪魔にならないのが良いというのが根底にあって、モノクロが好きなのもあるんですけど、 色を使うとその空間によっては当てはまらない場合が結構多いと思うし、「絵です」っていう感じで存在を強調しているよりは、空間の一部に溶け込んでいるぐらいでいいと個人的に思っています。
あまりゴタゴタしない、シンプルかつ何か感じ取れるみたいな。








刺激を受けるデザインなどありますか?


アアルトやイームズなど北欧デザインやミッドセンチュリーのデザインからは刺激を受けました。
シンプルで突き詰めていく。でも独自性は確実にある。
そういうのがカッコいいと思うし、そういうものを作っていきたいです。


絵に文章を入れたデザインもされていますが、どういう文章を描こうとか、込められている想いなどありますか?


そんなに意識してないですかね。日記みたいになってる。
インスタはほとんど。その場で適当に考えてアップしてます。
でもインスタ見てる人が飽きないように、リズムは考えています。
例えば、ずっと人物あがっているとかそういうのだと個人的には、見ていてあまり面白くないし、自分が飽きてしまいそうなのでメリハリをつけるようにしてます。


インスタを見てファンの方とコミュニケーションをとられていると思うのですが、そこに何か想いとかありますか?


描きたいもの描いてっていうのはあるんですけど、こう音楽みたいな感じのジャンルにいてくれたらいいなと思っていて。だから独りよがりというよりは共感得られるほうが、 見ていて入り込めるし、自己満足で終わらないようにしたいなと、描いているうちに想っていたりします。
だから余計リズムとかを考えるのだと思います。
どうせ見ているなら楽しいほうがいいだろうなとか。








ニシクボさんにとってファンの存在とは?


私のインスタを見て「私も自分のやりたいことやろう」、みたいな方がメッセージをくれたりするんですよ。
将来パンを作りたいから自分で作ったパン食べてもらえませんか?とか。
経歴的に、一般的な道筋を辿っていないけどこうやって今、ものづくりの世界で生きているので、誰かに勇気を与えているっていうのは言い過ぎかもしれないけど何かのきっかけにはなっているのかなとは思っています。
自分のためにやってたことですが、それが誰かにとってプラスの感情になるのはとても嬉しいですし、そういう声を聞くことで、逆にまた頑張ろうと思えます。
だから絵を描いているだけの人だと、どうしても地味になっちゃうので、エンターテインメントとしても楽しんでもらえるように、展示とかも単に展示で終わらせないように、最近はライブペイントをやったり、音楽交えてできないかなとか、毎回セトリ考えやってます。
そこに食いついてくれる方もいるので、「セトリあげてください」といった声があれば、アップしたりしていますね。
音楽から受ける影響はかなり大きいので、そういう意味でも絵以外に興味を持ってもらえるのは非常に嬉しいです。


ブランド「OTTE」も立ち上げていますが、どういった経緯で立ち上げたのですか?


やっぱりコラボでやらせてもらったりすると制限があり100%が出せないので、自分だったらこういうのがいいというものを作りたいと思いはじめました。
自分で作った方が「こういうのを作る人なんだ」というのもわかりやすいですし、ブランディングになると思ってます。
絵は描きますが、正直プロダクトについては入れなくてもいいでしょ?とか、タイポグラフィだけで良くないか?と思うことが多いので、そういう意味でもイラストレーターだけではないということも現していきたいと思っています。
なので、絵ではなくプロダクトデザインとしてサコッシュ作ったりとか。








ファッションもかなりお好きですよね。


そうですね。ブランドでいうとJIL SANDERとか、MM6とか。それにUNUSEDとかAURALEEも好きです。
最近は古着も多いですかね。それにちょっとしたハイブランド混ぜておくみたいな。
あと、打ち合わせとか展示のときは黒。
世界観つくっていこうっていう。自分の世界観が伝わりやすいように。


この掟ではご自身の大切にしている「掟(スタンダード)」を伺っています。


細かいところはたくさんあるんですけど、楽しんでいくことじゃないですかね。
楽しめるようにやっていかないといいものはできなくなっちゃうので、それが一番大きいですね。やればやるほどに痛感するというか。
いろいろ制約なんかもありますけどとにかく楽しむ。それに尽きる。








最後に今後の展望も聞かせてください。


もうちょっと確立していきたいです。正直、絵に関してはやればやるほど迷いが出たりして模索中が続いています。
こうなりたいが形になるまではまだまだかかる気がしています。
ただ、イラストではなく、いいデザインを突き止めたいです。「これすごくいいデザインだと思ったら、やっぱりこの人だった。」と思われるような。
なので、将来的には全体を統括するアートディレクターのような存在になりたいです。
あとはフェスを開催したいですね。






PUBLIC TOKYO × SAYURI NISHIKUBO COLLABORATION

今回のコラボレーションは全部で3型。

COLLABORATION ITEM1
Illust TEE Message


PUBLIC TOKYOののコンセプトを後身頃に配したオリジナルプリントTシャツ。
※ステッカー付

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COLLABORATION ITEM2
IllustTEE PUBLIC


東京駅で撮ったPUBLIC TOKYOのLOOK写真をイラストにしたプリントTシャツ。
※ステッカー付

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COLLABORATION ITEM3
吉祥寺限定B4サイズトート


吉祥寺店限定展開のトートバッグは31日吉祥寺店のみで販売開始。










PROFILE

ニシクボサユリ/SAYURI NISHIKUBO
1988年 三重県熊野市生まれ。
2010年に三重県立看護大学を卒業後看護師として働きながら独自でデザインを学ぶ。
2015年にInstagramへイラストの投稿を始める。
現在はエルマガジンやSPUR、FIGARO.jpなど雑誌の挿絵を手掛けるほか、 adidasやISETAN、資生堂、ソフトバンク、 LINEなどのイラストデザインも担当している。

〈ニシクボサユリ氏 インスタレーション作品展示〉
展示会場:吉祥寺PARCO 1F PUBLIC TOKYO店内
今回のコラボにあたりデザインしていただいたイラストの原画を期間限定でPUBLIC TOKYO 吉祥寺店の店内で展示。
また、コラボアイテムを8/31(土)から販売。
※トードバッグのみ吉祥寺店限定販売になります。


instagram:@sayurinishikubo

SAYURI NISHIKUBO氏OFFICIAL WEB SITE