都会的スタンダードを提案するPUBLIC TOKYO。 PUBLIC TOKYOが目指すのは着るヒトを最大限に引き立てるモノづくり。ジャンルを超えて様々なシーンで活躍する、注目すべき“ヒト”にフォーカスし、生き方や仕事に対する“掟(スタンダード)”を紐解く。
今回フォーカスするのは現代美術作家として活躍し、7/26にローンチするPUBLIC TOKYOとのコラボレーションアイテムを手がけた加賀美健氏。
美術史をはじめ時事ネタなど世の中で起こる様々な問題、カルチャーなどすべてのジャンルをジョーク的発想に換え美術作品を発表している同氏。その自由な発想のルーツや3つの“掟(スタンダード)”をお聞きした。








現代アート作品を作るようになったきっかけを教えてください。


元々スタイリストのアシスタントやっていたんですが、その後ある程度お金が貯まったのでスタイリストにならずに、そのままサンフランシスコに行ったんですよ。それが25歳の時ですね。ファッションよりアートに興味を持ち始めた時期でした。自分の性に合っていたっていうのもありましたし、東京に戻ってきてからは僕の好きなギャラリーに作品を見てもらいそのギャラリーに所属することが出来ました。そのギャラリーには10年所属していました。そのあと東京の違うギャラリーに移りまして今に至ります。きっかけはアメリカに行って、東京戻ってきてからギャラリーに所属した流れです。


ギャラリーに持ち込んだ作品はどういったものですか?


ミルクマンです。バナナやイチゴが頭や体に刺さってるオバケのようなキャラクターです。これがアメリカに住んでるときに描いた絵なんです。確かミルクマンは2001年ぐらいに描いて、2004年に某バンドのジャケットになりました。ルーツはサンフランシスコ行ってるときに一応語学留学するんですけど、学校行くふりして毎日街をフラフラしてました。その時にスリフトストアという、中古のおもちゃや洋服とかがたくさん売ってるところを毎日出入りしてて、そこで買ったおもちゃとか、中古の雑貨とか商品を作品にしていました。その作品の作り方は未だに変わっていなくて、最初からあるものをちょっと改造したりとか組み合わせたりとか。「レディメイド」ってやつですね。だからルーツはサンフランシスコに住んでいたとこからきていますね。










レディメイドで作っている作品は、今このSTRANGE STOREにありますか?
これとか、時計の中にポテトチップスのおもちゃ入れちゃったり。意外と最初からあるもの使ったり。まずこの店もそうですもんね、元からあるマンションの一室に僕の作品おいてお店にしたり。基本やっていることは昔から変わらないですね。表現の仕方とかコンセプトがちょっと変わるぐらい。


コンセプトを決めるインスピレーションはどこから?


それは日々、生活してて、ニュースとか見たり、人としゃべったり、あと世の中の起きてることとか、絶対目に入ってくるじゃないですか。


インスタグラム等で加賀美さんが上げている画像が風刺的な重い内容のものも、どこかクスッと笑える内容に落とし込んでますよね。


そうなんです。最終的にはそういうちょっとシニカルに持ってかないと重かったりするので。割とこうユーモアに転ぶようには、心がけています。表現の仕方は割と笑えるっていうか。








インスタで上げてる画像は作品にはならないんですか?


今インスタが作品みたいになっていますもんね。インスタ自体は割とメモみたいな感じにしていて。 何か面白いことがパッと浮かんでも忘れちゃったりするじゃないですか。でもインスタにポストしておけば、ずっと遡って見れるし。アイデアノートみたいな感じで使ってますね、あと宣伝にも。 1/3が宣伝だけど、2/3はアイディアって感じです。とにかくラフにアップしてます。思いついたものや、その時の時事ネタをすぐにあげる鮮度を大切にしてます。


小さいころからものづくりは好きだったんですか?


そうですね。でも授業とか図工、美術は点がすごく悪くて、、、技術がないから。絵が全くうまくないんですよ。すごい絵が上手い人とかいるじゃないですか。作るのも丁寧に、造形したりとか。。。僕はせっかちなんで、頭に浮かんだものが、すぐに形にならないと嫌なタイプだから、どうしても自分が早く作らないと見れないじゃないですか。だからあんなにインスタ投稿してる画像も情報が早いんです。毎日のようにくだらないものを沢山アップして、アイデアが頭に浮かんでもすぐ忘れちゃうから作ってすぐアップするって感じです。









今のような作風になったのはいつぐらいからですか?


小さい頃から割とあまのじゃくで。ファミコンが流行った時もファミコン持ってなかったのに、スーパーファミコンなったらファミコン買ってもらったりとか。携帯もみんなが使っているから本当に最後の最後まで持たなくて、iPhoneも持ったのすごく遅いんですよね。昔から流れに乗るのが苦手でした。作品の話でいうと今の時代パソコンで何でも作れるじゃないですか。僕は全くパソコンが使えないので昔からアナログなスタイルです。世の中の技術が進み過ぎてるので逆にアナログなスタイルが新鮮に感じています。 それと日本語で作品を書いてたりもするんですけど、 英語が世の中溢れてるじゃないですか?だからそれも逆に新鮮に見えたのかなって思います。あと作品のことはあまり理解されないようにはしてるんですけどね。表現の仕方を一個にしないようにしてます。面白いと思ったら色々な表現方法で仕事をしたいので、そういう風に揺さぶったほうが、見てる側も面白いし、いつまで経ってもいろいろなテイストで作る方が面白い。自分でも面白いですし。


お仕事をする中で何やってる時が一番楽しいですか?


面白いアイディアが浮かんだときとか、一人でいるときとか。一日中そんなことばかり考えてますからね、朝起きてから寝るまで。何か作らなきゃいけないとか、面白いこと考えようっていうふうには過ごしてなくて、 浮かばなかったら、浮かばないし。誰かのために笑わせようっていうのではなくて、 「自分が面白い」それが大切ですかね。同じような仕事の人はみんなそうなんじゃないですかね?プロ野球選手とかはお客さんがいて、歌手とかも歌って感動させないといけないけど、僕みたいな仕事はニッチな仕事ですから。









今後の展望はありますか?


これからも楽しければいいかなって思ってやってます。自分が楽しかったら間違いがないですし。


「楽しくないことやりたくない」って言えるほど、世の中が甘くない中で、それが出来ているってすごいですよね。


そんなことないですよ。だけど楽しむには、それとは真逆なことを沢山こなさないと楽しめないと思います。僕はあんまり提示しないし。ここはこうだとか、これがああだとか、全く言わないから、よく若い子からも質問されて「どうやれば、加賀美さんのようになれますか?」って。 分かんないですよね、気づいたらら45歳になってましたし。今の子って割と、すぐ来年どうなってないといけないとか、そういうのが意外と強くて。なんでかというと多分SNSがあるからだと思うんです。いろいろと目に入ってくるいい情報と自分を比較してしまうんですよね。僕の時はそういうのがなかったから、どうやっていけばいいとかなかったですからね、全く。SNSなんてなかったから。


そのスタンスにならないときついですよね。周りと自分を比べてばかりだと。


こういったアートみたいな、僕の仕事って、一年が十年って言われてる仕事なので。人の一年が十年ぐらい。それぐらい時間がかかる仕事だから、そういう覚悟がないと、難しいと思うんです。何でもそうですが、すぐに結果が出る仕事ではないので。









この掟ではご自身の大切にしている「掟(スタンダード)」を3つ伺っています。


掟1

“直感”


もう本当に子供のころから直感で生きてるんで。

直感力を鍛えていたりしましたか?

それはないですね。鍛えようがないです。直感力が分かんないって子は何をするにも最初「 これがいいのかな?」ってなるじゃないですか。「これって良いですか?」って見せて、「全然良くない」って言われるのが怖いから直感力を信じれなくなるんです。僕は人の事があまり気にならないし、「これはいまいちだね」とかいわれても全く何も思わないっていうか、逆に面白い、それをまた参考にしちゃいますね。それもアートにしちゃえば、何でも出来るから。あんまり気にしたら、この仕事出来ないですもんね。



掟2

“自分に正直”


まあ生活があるから、100%正直になんて生きていけないんですけど。なるべく正直にですかね。



掟3

“楽しむこと”


とにかく楽しむこと、これが3つ目ですね。
直感!正直!楽しむ! 簡単に言えますが一番難しいですよね、僕もそれらを全うできるように日々頑張っているつもりです。笑  













PUBLIC TOKYO × KEN KAGAMI COLLABORATION

今回のコラボレーションは全2型の2色展開。


COLLABORATION ITEM1
Ken Kagami SURIKIZU TEE


PUBLIC TOKYOのために加賀美氏が書き下ろしたドローイングを前身頃に配したオリジナルのTシャツ。
すりきずではなく、シュリキズと読みます。
絆創膏の上に加賀美氏が自らペンで書いたものをインクジェットプリントで再現。あえて手書き感を残した荒っぽいプリントにしてあります。
ゆとりのある大きめのサイズ設定と裾のスリットで程よいトレンド感を持たせつつ、加賀美氏らしいジョークの効いたデザインがポイント。
KenKagamiらしさ全開のユーモアのあるデザインで、プリントと同じデザインのステッカーがついています。

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COLLABORATION ITEM2
Ken Kagami BOX TEE


PUBLIC TOKYOのために加賀美氏が書き下ろしたドローイングを前身頃に配したオリジナルのTシャツ。
ぱっと見ると何かわかりませんが、文章を読んでわかる人にはわかるユーモアが加賀美氏らしさ全開のデザインです。
こちらは手書き文字をリアルに再現した半ラバープリントになります。
ゆとりのある大きめのサイズ設定と裾のスリットで程よいトレンド感を持たせたシルエットに。
KenKagamiらしさ全開のユーモアのあるデザインで、プリントと同じデザインのステッカーがついています。

商品ページはこちら



PROFILE
加賀美健/KEN KAGAMI
現代美術作家。1974年東京都生まれ。
現在も東京を拠点に制作活動を行う。国内外の数々の個展・グループ展に参加。ドローイング、スカルプチャー、パフォーマンスまで表現形態は幅広い。アパレルブランドとのコラボレーションも多数手掛ける他、自身の店「STRANGE STORE(ストレンジストア)」を構え、店内では自身のコレクションや若手アーティストの展示なども行っている。

instagram:@kenkagami

加賀美健氏公式HP